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2007.08.09

ブリキのスープ

キャベツのいちばん外側の青い部分、そして中の芯の部分。
これを塩で煮て食べてみてほしい。
多分、とても食べられたものではないはずだ。
しかし、かつてソ連に抑留された人々はこんなものを主食に、
過酷な強制労働をさせられていたのである。
私の祖父もそのひとりだった。
そんなことを思い出す今日は8月9日、
長崎原爆忌であると同時にソ連参戦記念日である。

4年間の抑留の末、なんとか帰国を果たした祖父。
恐らく収容所では筆舌に尽くしがたい体験をしたに違いないのだが、
家族に語ったのは食事に関する話ばかりだった。
(それだけ他に楽しみがなかった、ということなのだろうが)
冒頭のキャベツのスープを硬くて味がないことから、
「ブリキのスープ」と呼んでいたこと、
またこうした食事面での虐待が目立たないよう、
帰国が決まった人々にはジャガイモを食べさせ、
栄養状態を改善してから帰国させたこと、
引揚船で日本の港に着いたとき、
八百屋の店先に並んでいたキュウリを先を争うように買い、
「日本の味がする」と涙ぐみながらかじったことなどを、
ユーモアを交えながら語ってくれたという。

そんな祖父も帰国してから15年ほどで亡くなり、
私自身は、幼児期の数年間しか一緒にいられなかった。
わずかな想い出の中では、とても優しい祖父であった。
祖父の命日は8月19日。
毎年、8月はあの戦争のことと共に、祖父のことを思い出すのである。


長崎の被爆者の方々に黙祷を捧げつつ   いでら

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