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2019.07.19

MRJミュージアムへ行ってきた。

Mrjm

海の日入れた三連休、ちょっと日本中部地域に旅行してきたんですが、その中からとり急ぎ「MRJミュージアム」のレポートなど。いえね、ここは写真とか撮ってないので書いとかないと忘れちゃうもんで(汗

さてMRJミュージアム。言わずと知れた久々の国産ジェット機、MRJ(商品名はスペースジェットに変わっちゃったけど)を製造している三菱の最終組立て工場を見学できるというもの。見学には事前申し込みが必要で、けっこー事細かな個人情報を登録する必要はあるが、このへんは企業秘密のカタマリである最新鋭ジェット旅客機工場見学なので、納得するしかない。申し込みはwebから可。見学日2日前まで受け付けている。

予約の時間になったので各務原航空宇宙博物館から通称小牧空港こと名古屋県営空港へ移動。各務原で長居しちゃったので途中の渋滞はちと焦ったが、なんとか時間前に到着。小牧空港はエアポートウォークというモールを併設していて、お客さんで大盛況。その中のフロアにはあいち航空ミュージアムも併設されているのだが、このミュージアムのエントランスにMRJミュージアムの受け付けもあるのだ。

案内にしたがってちょいと裏のほうに歩いていくと、そこは空港のチェックインカウンターを模した受け付け。よいふいんき(なぜか変換ry)ですな。とても丁寧な女性係員が申し込みのQRコードをチェックした後、身分証(免許証ね)を見せて本人確認。友人が申し込んだ際にワタシの生年月日を間違えていて、そこを訂正していた。セキュリティもこれくらいなら許容範囲みたい。

これまた出発ロビーを模した待合室で待つことしばし。定員制で、予約した時間ごとにまとめて案内される方式なのだが、連休最終日だというのになぜかこの時間の見学者は我々二人だけ、いわば貸し切り状態。なんとなくうれしくなる。ほどなく、ご用意ができましたと女性係員が呼びに来る。後について建物横の階段を降りると、専用の送迎バスが待ってました。運転手さんも歩道に降りてらして深々と一例。口調もあくまで丁寧でまるでVIPを迎えるよう。なんか、どこぞの航空会社の視察団になったよーなこンころ持ちでニコニコとクルマで5分ほどの三菱最終組立て工場へ。

1Fエントランスではカウンターにいた年かさの男性係員を含め、皆さんでお出迎え。なんか自分がとてもエラくなった気分(笑) こういうとこ、うまいよねぇ。係の方より見学の注意事項を聞いた後、音声案内用の機器とイヤホンを装着し、施設のロッカーに荷物を預ける。そう、ここから先は撮影とか録音とかは禁止なのだ。セキュリティ上仕方ないよね。

スーベニアショップもあったが、これは帰りにすることにして、とりあえず飲み物だけ買って(ここの自販機がまた面白くて、記念写真が撮れるのだ)、いざ見学コースへ。ガイドにくっついて見学するツアー方式で、まずは施設の5階にエレベーターで上がると、そこにはおとなり小牧空港滑走路の意匠をペイントした長い廊下。1/20スケールで再現したものだそうだ。

「ここからはMRJになったつもりで心の中で離陸してください」てなことをいわれた。なかなかくすぐりを考えてるなぁ。子供は両手拡げて「キーン」ってやるって。そりゃそうだよな、ワタシも理性がもう少しで負けるところだった(汗 壁面にはだんだんと離陸していくMRJが描かれているので、どのへんから機首が上がるとか、なんとなくわかる。

そしてこの廊下を抜けたところのシアターで、まずは開発物語や初飛行などをまとめたに記録映画を見せられ、テンションが上がってきたところで、次にどどーんとあるのが、MRJのモックアップ!! 手前にはデザイン上のモチーフとなった日本刀や漆器なんかが並んでる。徹底した和のデザインへのこだわりは日本の機体であることを主張している。日本人にはちょっとオリエンタリズムが強すぎるよーな気もするけど、世界の旅客機市場に割って入るには、これくらいの自己主張が必要なんだろうねぇ。

モックアップ内にも無論入ることができたが、コクピットに計器がまったくないのね、今の機体。4面の15インチモニターで、全部表示できちゃうんだって。デモ画面が表示されてたが、左右が機体の状態、真ん中が航法用のデータになってた。左右一本ずつまるでクルマのエンジンオイルフィルターみたいな黒い半球形の見慣れない物体が生えていたので聞いたらマウスだと(^^;)

乗客用シートにも座らせてもらった。カスタマー向けに革シートとファブリックシートがあり、ここでは両方とも座れる。シートは全体に薄いんだけどしっかりしていて座り心地も良好。しかも足元が広いのよ。昔乗ったDC-9(古いねどうも)なんかはかなり窮屈だった印象あるんだけど、大型機のエコノミーよりもぜんぜんラクな印象。ちなみに、根が貧乏人だからか布シートのほうがいい感じ。席上の荷物だなも広くて使いやすそう。しかも端っこがレールっぽくなっていてつかまることができる。このへん、CAな皆さんに聞いた意見を反映したそうで、ナイスな設計。荷物室を床下ではなく後部に持ってきたことで床面が下がり、天井まで203cmと大型機なみだし、真円形状の胴体の一番広いところに肩口が来るようになって、非常に余裕を感じた。これなら航続距離上限のグアムあたりまで飛んでも疲れないよね。

胴体の次は翼とエンジンのカットモデル。もっとも、エンジンとパイロンは木製のモックアップだけどね。MRJのエンジンはP&W(P&Gじゃないよ、それは洗剤)のGTFという新しいエンジン。もちろんターボファンで、ファン直径を大きくするなどで効率を上げ、燃費を20%改善したもの。確かに直径が大きいわ。グランドクリアランス確保のために、パイロンの設計はなるべく主翼の前方へ出すようになってた。でもこのエンジン、機体開発にモタついてたおかげでライバル機にも搭載されちゃうのよねぇ(汗

主翼は内部のフランジがなーんと削り出し。別体にするより強度的にも重量的に有利だというけど、ラジコン屋さんとしてはコストが気になるなぁ(^^;)続いて垂直尾翼本体。使われているCRP素材を持って軽さを実感するコーナーなどもあり、二人で似たような素材をいつも触ってるからなぁとか話してたらガイドの係員さんが目を白黒。そりゃそうだよな。他にも置いてあるチタン削り出しのパーツを見てすげーとかやってたら、フツーのお客さんとは喜ぶポイントが違ったらしく、「そういったようなお仕事をされてるんですか?」「いえ、趣味です。」「…」更に目がまんまるになるガイドさんであった(笑)

お次はタブレット端末がいくつも置いてある円型のテーブルへ。このタブレット、作業現場が360度映像で見られるというもので、MRJ製造の様子が動画でぐるんぐるん見える。こりゃすごいわ。マァあの、印象としては最新鋭の工場って、すごくメカメカしいような想像をするけども、まだ増加試作(オイ)段階だからか、人間の手作業の部分が非常に多いんだよね。

ひとしきり映像で喜んだあと、コクピットガラスとか航法関係機器とか、各部の構成パーツを展示したコーナーへ。国産ジェットとはいえ、国内メーカーなのは機内のじゅうたんとかシート生地とかごく一部で、航法機器など米国メーカーの製品が非常に多い。FAAの認可の取りやすさとか、そいういうのもあるんだろうけどAC-DCコンバーターみたいなモンまで米国製なのは、やっぱりちょっとさみしいなぁ。意外だったのはフラップのスライドレールフェアリングとか、いくつかのCFRP成型品が台湾メーカー製だったこと。てっきり東レあたりを使ってるかと思ってたんだが。

こうしたパーツを含め、各地で部分的に組立てられた機体が最終的にこの小牧工場に集まってくる様子を説明するパネルなどを見てから、いよいよ2階の組立て工場へ。エレベーターを降りると、警備員さんがひかえてた。そんでもって我々のあとをずっと付いて来るのである。警備厳重だなぁ。

眼下に広がるのはまさにMRJの組立て工場。我々がいるのはそのキャットウォーク部分ということになる。休日にもかかわらず、多くの技術者が出勤して作業していた。どうもヘラヘラ物見遊山しててごめんなさいな気分になる。エレベーター降りたところから見て、向かって左手が機体の組立て工場、右の方が「士の字」wになった機体に各種機器の取付を行なう艤装工場となっている。といっても壁とかで仕切られているワケではなく、間にPCやデスクのあるワークエリアを挟んで向こうが組立て、艤装がコッチ、という感じ。

組立て工場エリアではまだ黄色い下地材のドンガラ状態で2機が製作中。これは、短胴型の-70の初号機と2号機だそう。旅客機は一般的に、原型の胴体をストレッチして長胴型を作ることが多いのだが、MRJでは逆なのね。ずんずんと右手の方に歩いていくと、米国でのテストに参加するために最終艤装中の6号機が。テスト用ということで、ピトー管が左右2本ずつ、計4本装備されてるのだな。機首右側面からは、エンジン全停止の非常事態に繰り出される非常用風力発電機のも露出していた。これで不時着までの最低限の操縦機能と通信を確保するというもの。ミリオタ的にはMe163コメートの機首先端のアレを想像してもらえばよいです。こんなん、使う場面に乗り合わせたくないもんだが…

途中、外板パネルを沈頭鋲で止めたものを展示しているエリアがあり、自由に触れる。コレがほんとに平滑でびっくりするが、作業は職人の手作業というから二度びっくり。
使用する特殊ドリル(穴がより平滑に開くようにダブルエッジになってる)などもあり、開けた穴の平滑性を確認できる。挑戦コーナーとして、ドリルを所定の穴に垂直にまっすぐ入れる、というのがあったが、二人ともミスなくクリアしてまたガイドさんが驚いてた。なんでも、ほとんどの人はナナメってしまうんだって。アレだな、RCカーいぢりが役に立ったということだよな。(その後水平方向へのチャレンジではぜんぜんうまくいかなかったのはナイショだ)

印象的だったのは使用する工具やパーツ類がものすごく整然と整理され、ラックごとに置かれていること。海外からのお客さんはここにいちばん驚くそうだ。確かにそのほうが効率がいいけど、やはり驚異に見えるんだよね、こういうのって。最終的には月産10機、つまり3日で1機の割合で機体を完成させる能力があるってことなので、またそのうち訪問して広い組立て工場を機体が埋めつくしている姿を見てみたいものです(見られるかなぁ?)。

そんなこんなでキャットウォークをぐるっと回り、見学が終了。ずっと付いてきてくれた警備員さんにもご挨拶して、1Fエントランスへ。スーベニアショップでちりっと買い物して、また送迎バスに乗って小牧空港まで帰って来たのでありました。(フードコートで食った寿がきやのラーメン、うまかった(^o^))

航空関係のニュースをみている人ならお分かりのように、MRJをめぐる環境は必ずしも順風満帆とはいいがたい部分もあるのも確かで、このMRJミュージアムだっていつまであるかわかんない。今のトコ、というかここ数十年は日本で旅客機の製造工程が見られる唯一の場所のワケで、興味のある人は早めに見学しておくことをお薦めしマス。

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